妊娠中だけ糖尿病に近い状態になる、妊娠糖尿病【いま知るべきこと】

妊娠中だけ糖尿病に近い状態になる、妊娠糖尿病 妊娠糖尿病

友人が妊娠中に妊娠糖尿病だと診断されたみたいで、ビックリ。詳しく知りたい。

と、いう方へ

妊娠中に妊娠糖尿病になる人は、
100人中12人ぐらいといわれています。

けっこうな割合なので注意が必要です。


今回は、妊娠糖尿病の話です。

■もくじ

  1. 妊娠中だけ糖尿病に近い状態になる、妊娠糖尿病とは
  2. 【妊娠糖尿病】の治療やケアの方法は

この記事を書いている僕(コータロー)は、健康食品を販売して15年ほど。

妊娠中だけ糖尿病に近い状態になる、妊娠糖尿病とは

妊娠糖尿病】は、妊娠中に糖尿病ほどではない軽い糖代謝異常のこと

【妊娠糖尿病】は、妊娠中に糖尿病ほどではない軽い糖代謝異常のこと

糖尿病になる人が急増しています。糖尿病の予備軍を含めると6人に1人の割合といいますから、気をつけなければなりません。

妊娠糖尿病(gestational diabetes mellitus:GDM)とは

妊娠糖尿病と普通の糖尿病との違いは、【妊娠中だけ糖尿病に近い状態になる】とことをいいます。

妊娠すると血糖値が上昇しやすくなります(糖代謝異常)。膵臓で作られているインスリンというホルモンの量の働きが十分でなくなり、血糖値のコントロールできなくなった状態

妊娠中は、食後の血糖値が高くなるようになっています。それは、動物でも同様ですが、野生では食料が十分にあるとはいえないので、妊娠中の胎児により多くの栄養を与えようと血糖値が高くなっているのだろうと考えられています。

  • この妊娠中の血糖値が過剰に高くなった状態が【妊娠糖尿病】です

一方、妊娠する前から糖尿病だった女性が妊娠した場合は、[糖尿病合併妊娠]といい、妊娠することによって、さらにインスリンの作用への抵抗が増して、血糖値が上がりやすくなります。

[糖尿病合併妊娠]の人は、出産が終わってもほとんどの場合、糖尿病のままの状態です。

妊娠糖尿病になりやすいタイプは

妊娠糖尿病になった多くの人は、普通、出産後しばらくすると平常時に戻ります。

では、妊娠糖尿病になりやすい人は、どのようなタイプ、もしくは妊娠糖尿病である可能性はというと、、、

  1. 家族に糖尿病患者がいた
  2. 肥満の妊婦さん
  3. 35歳以上で妊婦になった人
  4. お腹の赤ちゃんが、巨大児(4000g以上)を産んだことがある妊婦さん

以上のタイプは、普通より【妊娠糖尿病】の可能性が高くなります。

そのほかの可能性は、、、

  1. 原因不明の流早産を3回以上経験している
  2. 原因不明の胎児・新生児死亡の経験がある
  3. 先天奇形児の分娩歴がある
  4. 強度の尿糖陽性もしくは2回以上反復する尿糖陽性
  5. 妊娠高血圧症候群の方
  6. 羊水過多症

などの妊婦さんの中には妊娠糖尿病である人がいます。

→ 浦安・市川医療センター

妊娠年齢が高くなると糖尿病のリスクも高まり、高齢出産になると妊娠糖尿病になる可能性も高くなります。

妊娠糖尿病が赤ちゃんに与える影響は

普通の糖尿病と同じように妊娠糖尿病も食後の血糖が異常に高くなる影響で、お腹の赤ちゃんへの糖分の供給量が増えます。

お腹の赤ちゃんは、糖尿病ではないのでインスリンの働きで糖分をコントロールします。

ですが、、、

お母さんが妊娠糖尿病でいつまでも高血糖の状態が続くと、糖分がずっと与えられるので、お腹の赤ちゃんは、次第に太っていきます。[巨大児(4000g以上)]

妊娠糖尿病が改善されないと結果的に帝王切開へ

母体の血糖値が高い状態が続くと、大きな赤ちゃんになっていき、普通の体格のお母さんは産めなくなるので、出産(分娩)が長時間になったり、帝王切開で産む手段をとることに至ります。

妊娠糖尿病の合併症は

妊娠糖尿病を適切に治療すると、巨大児が減り、妊娠高血圧症候群の合併が防げたりします。妊娠糖尿病を適切に治療することで、帝王切開になる人が減ります。

母体への合併症
帝王切開率の上昇
妊娠高血圧症候群
流産・早産
羊水過多
感染症の併発:膀胱炎、腎盂腎炎 など
胎児・新生児への合併症
巨大児:帝王切開の上昇
肩甲離産:お産のとき、赤ん坊の肩が引っかかること
子宮内胎児死亡
新生児低血糖
新生児高ビリルビン血症、低カルシウム血症、呼吸窮迫症候群 など

肩甲難産

肩甲難産は、児頭が娩出された後に肩甲が恥骨後面に嵌入し、通常の牽引では児の躯幹が娩出されないために母児双方にとってきわめて危険な状況となる。

この状態は、児の頭部に比較して肩周囲が大きいときに発生しやすく、とくにコントロール不良の糖代謝異常妊娠の分娩時に配慮する必要がある。

高齢妊娠と、肥満、妊娠糖尿病が増加している現代においては、肩甲難産の発生率が上昇してくる可能性が高い。

肩甲難産
→ 肩甲難産

また、妊娠糖尿病の状態で生まれた赤ちゃんは、成長段階で、、、

  • 幼児期に肥満になったり、成人になってメタボリックシンドローム

というリスクもともなうといわれています。

【妊娠糖尿病】の治療やセルフケアの方法は

妊娠糖尿病】の治療やセルフケアの方法は

【妊娠糖尿病】の治療には、どのようなものがあるのか

妊娠糖尿病の診断には、血液検査が主に行われます。

随時血糖(ずいじけっとう)通常の血糖検査です。普通に食事を摂取した状態で血糖を測定
空腹時血糖(くうふくじけっとう)食事を取らない状態での血糖検査です。通常、朝食を食べない状態で来院していただき検査
ブドウ糖負荷検査:糖分の入った検査用のジュースを飲んで血糖を検査する方法

例)50gグルコースチャレンジテスト、75gブドウ糖負荷試験

妊娠糖尿病の診断は次のように二段階に分けて検査を行います。

スクリーニング検査すべての妊婦さんを対象に、妊娠糖尿病かもしれない人をひろいあげる目的の検査

診断のための検査:妊娠糖尿病の診断のために、75gブドウ糖負荷試験を行います。
2010年7月に妊娠糖尿病の診断基準が改定され、このような基準となりました。

軽傷の妊娠糖尿病なら【食事療法】

軽傷の妊娠糖尿病なら、【食事療法】を行います。赤ちゃんの発育に必要な量と、さらに、お母さんの体格に応じたカロリー量の糖分摂取。必要以上の糖分の摂取は控えます。

高血糖を抑える分割食

普通に1日3食たべても食後に血糖値が高い場合は、食事を6回に分割して食べる方法があります。この方法を[分割食]といい、1回の食事の量を減らすことで食後の血糖の上昇を抑えます。

妊娠糖尿病の分割食
妊娠糖尿病の分割食

軽傷の妊娠糖尿病なら【運動療法】も

妊娠初期ならば、お腹もそんなに負担にならないのでウォーキングなどの軽い運動はおすすめですが、妊娠後期になるとお腹も大きいので負担になるので控えます。妊婦さんの可能な範囲で行います。

有酸素運動は、効果的ですが必ず主治医に相談してから始めてください。

食後1から2時間経ってから行うのがよいとされています。

妊娠糖尿病のお母さんの出産後はどうなる

出産後も糖尿病であるのかそうでないのかを確認する必要があります。

通常は、出産後3ヶ月で妊娠の影響は消えるといわれていますが、念のため出産後6〜12週の間に妊娠糖尿病の状態が出産後どうなったのかを調べましょう。

  • 出産後6〜12週の間にブドウ糖負荷試験を受けましょう

もしも、出産後も同じような状態であれば、ドクターの指示に従って治療してください。

高齢になれば、普通の人よりも糖尿病になりやすいので、糖尿病予防を心がけてください。

妊娠以前から糖尿病だった方が妊娠した場合は

もともと糖尿病だった人が、妊娠した場合は、さらに血糖値が上がる可能性が出てくるので細やかな対応が必要になってきます。それは、網膜症、腎症、神経症など合併症の問題です。

しっかりと血糖値のコントロールができていれば、正常な妊婦さんと同じように出産ができます。

ですから、、、

  • 妊娠以前から糖尿病だった方が妊娠した場合は、妊娠初期からの血糖管理が重要です

妊娠以前から糖尿病だった方が妊娠した場合のリスクは、、、

  • 胎児に先天性心疾患など異常が発生する可能性が高くなることが知られています

かかりつけのドクターと相談して、治療に向かってください。

以上。