肥満を考える8:ユニセフ「世界子供白書2019」肥満増加の原因は

子どもの肥満

世の中、ご飯があまっていたり、身体によくないような食べ物が溢れているけど、世界はどうなのかな。

と、いう方へ。

ユニセフ(国連児童基金)が発表した白書では、先進国の子どもの5人に1人は過体重のようです。





今回は、世界の子どもに肥満が増えているという話です。

■もくじ

  1. 世界の4,000万人の子供が過体重や肥満
  2. 子供の質の悪い食習慣は生後すぐにはじまる

この記事を書いている僕(コータロー)は、健康食品を販売して15年ほど。

世界の4,000万人の子供が過体重や肥満

ユニセフ(国連児童基金)は、「世界子供白書2019」を発表しました。

→ ユニセフ(国連児童基金):2019年世界の子どもたちの状況

世界の子どもたちの食糧事情

現在、世界の子どもたちの食糧事情は、、、

  • 5歳未満の子供の3分の1は栄養失調、発育不全、浪費、または過体重

で、、、

  • 3分の2は食事の質が悪いために栄養失調と隠れた飢餓のリスク

が、あるようです。

レポートでは、、、

今日でも栄養失調の子供が何百万人もいますが、状況は変化しています。
アフリカを除くすべての大陸で発育不全の子どもの数が減少している一方で、過体重と肥満はアフリカを含むすべての大陸で、はるかに速い速度で増加しています。
世界的に見て、5歳未満の子どもの少なくとも半数が隠れた飢餓に苦しんでいます。
手遅れになるまで気付かれないことが多い必須栄養素の欠如です。

また、世界の子どもたちは、、、

  • 過去20年と比べて、過体重と肥満のレベルの低下が進んだ国は1つもない

そして、最大の問題は、、、

  • 子どもにとって必要なものは食べられず、必要でないものを多く食べさせられている

現状があります。

世界の子どもの肥満は、栄養不良

アフリカ大陸を除く、多くの国々で起きていることは、【超加工食品】と【ファストフード】の氾濫による肥満です。

一昔前(20年前)では、考えられなかったことが、世界の子どもたちを肥満にしています。

  • 栄養価の低い【超加工食品】と【ファストフード】

下の写真は、ユニセフから。

この写真の食品には、すべて砂糖があります

©UNICEF / GAINメキシコ
©UNICEF / GAINメキシコ

この写真が多くのことを説明しています。

くり返します。

子どもにとって必要なものは食べられず、必要でないものを多く食べさせられている

そして、、、

  • 世界の先進国だけでなく途上国でも【超加工食品】と【ファストフード】の販売活動や広告が過剰になっている

その結果、、、

  1. 世界の4,000万人の子供が過体重あるいは肥満
  2. 糖質や脂肪の多い高カロリーの食品が入手しやすくなった
  3. 野菜や果物、全粒粉といった健康的な食品はますます入手しにくい

さらに、、、

  • 低所得国および中所得国の学校に通う若者の42%が、1日に1回以上糖質の多い高カロリーの清涼飲料を摂取している
  • 46%がファストフードを1週間に1回以上は食べている

これら割合は高所得国の若者になるとさらに高くなり、、、

  • 高所得国の若者の62%が、1日に1回以上糖質の多い高カロリーの清涼飲料を摂取していて
  • 49%がファストフードを1週間に1回以上は食べている

世界の子どもの肥満は、5人に1人と2倍に増えた

世界の子どもの多くが、1日に1回以上糖質の多い高カロリーの清涼飲料を飲み、ファストフードを1週間に1回以上は食べるようになれば、自然と肥満の子どもが増えるのも仕方ありません。

  • 2000~2016年に、5~19歳までの子供の過体重の割合は、10人に1人(10.3%)から5人に1人(18.4%)と2倍に増えました

この現状に対して、何も対策を施さないと、、、

  • 5歳未満の肥満の子供の数は2025年までに4,000~4,300万人に増えると予測されています

そして、、、

  • 子供や若者の腸内細菌叢に変化が起きている

と、指摘した研究も報告されています。

子供の頃の食生活が成人後の肥満の増加に影響

 米国のテネシー大学の研究によると、現在の成人の肥満や2型糖尿病の増加の原因の一端は、数十年前の小児期や若年期の不健康な食事にあるかもしれない。  「子供の頃に定着した食事スタイルが、大人になってからの肥満や糖尿病の増加に影響している可能性があります」と、研究者は言う。

 米国では肥満の成人の数は、2016年までに全成人の約40%にあたる9,300万人に増えた。テネシー州だけでも、成人の肥満率は1990年の11%から2016年の35%へと3倍以上に増加している。

 研究者によると、米国で1970年代から1980年代にかけて子供の糖質を摂取が増えたことと、1990年代以降の成人の肥満の増加とは関連があるという。そのころ消費が飛躍的に増えたのは、果糖とブドウ糖を主成分とする異性化糖(フルクトース コーンシロップ)だ。

 成人の肥満率に大幅に増えている背景として、そこから数十年さかのぼる小児期に高糖質の食事を摂るようになったことを挙げている。
「現在の成人の肥満の危機に、30年から40年前に子供の頃に学んだ食習慣が大きく影響しているおそれがあります」と、研究者は指摘している。
→ 

日本の学校給食システムは優秀

このブログで、子どもの肥満を取り上げてきました。

肥満を考える5:子どもの肥満は、不安やうつ病のリスクが43%高い

肥満を考える7:メタボリックドミノから子ども時代の肥満を解決する

日本の子どもの肥満も深刻ですが、[5~19歳までの子供の過体重の割合]世界に目を向けると、、、

  • 日本の子どもの過体重の割合は、14.42%と最も低く
  • 1990年から14.3%しか増えておらず、日本の子どもたちは頑張っています

世界では、、、

  • 米国で42%(1990年から50%増)
  • ニュージーランドで40%(1990年から45%増)
  • ギリシアで37%(1990年から49%増)

と、経済協力開発機構(OECD)およびEU加盟国の41ヵ国のうち、ほとんどの国で増えています。

我が国の14.3%しか増えていないのは、逆に驚きの結果です

なぜこのように日本は、肥満の子どもを増やさずに押さえ込んだかというと、、、

ユニセフ本部栄養部門上席アドバイザーのローランド クプカ氏曰く

日本の学校給食システムが理由のひとつとして考えられます。
給食システムが全国に普及していることにより、子供たちに栄養のバランスの良い食事を安価に提供することができ、子供たちが栄養について学ぶ機会も与えています
さらに給食を通じて、他国に比べると伝統的な食生活が保たれていることも利点として挙げられます。

子供の質の悪い食習慣は生後すぐにはじまる

健全な成長のために必要な食事を摂れているのは5人に1人

世界の食糧事情は、とても厳しい環境にあるとレポートしています。

たとえば、、、

もっとも貧しい家庭では、生後6ヵ月から2歳までの子供のうち、健全な成長のために必要な多様な食事を摂れているのはわずか5人に1人

さらに、、、

  • 生後6ヵ月前後で乳児が離乳食に移行する中で、適切な食物が与えられていない

また、、、

  • 生後6ヵ月から2歳の子供の45%近くが、果物や野菜を十分に摂っていない
  • 卵、乳製品、魚、肉についても、60%の子供が与えられていない

そして、、、

  • 子どもたちの悪い食習慣は、生後すぐに始まると警告しています

それは、、、

  • 命を守る母乳育児は、6ヵ月未満の乳児のうち42%でしか実践されていない
  • 乳児用粉ミルクで育てられる子供の割合は増えている

母乳で育児をする教育の拡大が必要だ

赤ちゃんが誕生して、母乳で育児をすることは当たり前のように感じますが、、、

  • ブラジル、中国、トルコなどの高中所得国では、2008~2013年に粉ミルクの売り上げは72%増加

したようです。

母親からでる母乳は、赤ちゃんがこの世で生きていくために必要なものです。

脂肪・タンパク質・炭水化物・ミネラルなどの栄養が豊富に含まれ、乳児の免疫系を強化し、脳発達を促し、腸内フローラの形成にも有用です

こういった基本的な[母乳]でさえ、【超加工食品】に蝕まれているのが世界の現状のようです。

一方、日本では、、、

  • 96%の妊婦が母乳で育てたいと考えながら、生後3ヵ月の母乳育児率は38%

という調査結果があり、対岸の火事とはいえない状況のようです。

以上。

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また、次回。

Thank you very much for providing photos and illustrations.