そんなにまじめなタイプじゃないと思っていたアタシ。でも最近、会社変わってから、パソコンデータが間違っていないか心配でたまらない。退社しても気になって夜に確認に行くほど。これって、やり過ぎ、病気かな。
と、いう方へ。
かなりの気になっているようですね。
責任感が強いのもよいですが、
もしかしたら強迫性障害かもしれません。
1度医療機関への受診をお勧めします。
今回は、強迫性障害の話です。
■もくじ
- 50人に1人といわれる強迫性障害とは
- 強迫性障害の治療法には、認知行動療法がよく効く
この記事を書いている僕(コータロー)は、健康食品を販売して15年ほど。
50人に1人といわれる強迫性障害とは
強迫性障害とはどんな病気だろう
強迫性障害(Obsessive Compulsive Disorder:OCD)は、強迫症ともいわれ、以前は強迫神経症とよばれていました。強迫性障害は、不安障害の1つに分類されています。
強迫性障害はどんな症状か
強迫性障害には、【強迫観念】【強迫行為】の2つがあります。
強迫性障害はどんな症状 | |
強迫観念 | 自分の意思に反してある考えが頭に浮かんで離れない |
強迫行為 | 強迫観念で生まれた不安を振り払おうと何度も同じ行動を繰り返してしまう |
この【強迫観念】と【強迫行為】の影響で日常生活に支障をきたしたら、強迫性障害だといえます。
たとえば、、、
- 手が不潔に思えて過剰に手を洗ってしまう
- 戸締りなどを何度も確認せずにはいられない
- 人を傷つけてしまうのではないかと心配でたまらない
強迫症状の内容と頻度 | |
汚染の心配-掃除や洗浄 | 40-45% |
人や自分を傷つける心配(攻撃的-確認) | 30% |
正確性の追求-確認や儀式行為 | 30% |
数字へのこだわり-数を数える | 15% |
対称性へのこだわり(魔術的思考)-儀式行為 | 10% |
無用なものへのこだわり-保存 | 5-10% |
その他 | 20% |
※厚生労働省:みんなのメンタルヘルス
強迫性障害と思われるケース
清潔好きなA子さんの場合
私は、ウイルスで感染するのが怖いので、家中を綺麗に消毒液で拭いて回ります。ですが、ちゃんと消毒できたのか、心配で心配で、気がついたら一日のほとんどの時間を消毒に費やしています。外出しても、消毒がちゃんとできたのか心配で、引き返す始末。
家族は、いい加減にしてくれといいますが、もしウイルスに感染したらと思うとやめられません。私自身、ちょっとやりすぎかなと思うこともあるのですが、、、
心配性なBさんの場合
僕は、外出したとき、途中で「ちゃんとカギをかけたのか」「ガスコンロの火はちゃんと消したのか」「エアコンのスイッチをつけたままだったような」など気になって気になって、ついつい途中で引き返します。何度も何度も確認しているのですが、それでも心配です。
会社でも「ミスっていないか」と心配になってしまい同僚はすぐに作業を終えているのに僕だけが何度も何度も確認しなければ気がすみません。
ちょっと馬鹿げているとは思うのですが、もしもとか考えると心配なのです。
子煩悩すぎるCさんの場合
私は、幼い娘を育てています。料理を作っていて、「この包丁で娘を刺してしまうのではないか」と恐れています。いや、そんなことをするはずはないのですが、ついつい何かの拍子に自制心を失ってしまい、包丁で刺してしまうのではと頭にそんな想像がよぎるのです。
だから、鋭利なものは、すぐ手に届く場所に置かないようにしています。自分でもバカな母親だと分かっているのですが、こんな怖いことを想像するといつの日か、おかしくなるのではと心配です。
強迫性障害の代表的な強迫観念と強迫行為の内容
不安や恐怖といった主立ったケースは、以下の6パターンが考えられます。この内、「不潔恐怖と洗浄」「加害恐怖」「確認行為」は、頻繁にみられる症状です。
不潔恐怖と洗浄
汚れや細菌汚染の恐怖から過剰な手洗い、入浴、洗濯を繰り返す、ドアノブや手すりなどが不潔だと感じて触れないなど
加害恐怖
実際にそうではないと分かっているのに誰かに危害を加えたかもしれないという考えにとらわれて、新聞やテレビに事件・事故(ひき逃げなど)として出ていないか確認したり、警察や周囲の人に直接確認したりするなど
確認行為
戸締まり、ガス栓、電気器具のスイッチを過剰に確認する(何度も確認する、じっと見張る、指差し確認する、手で触って確認するなど)
儀式行為
自分の決めた手順で物事を行なわないと恐ろしいことが起きるという不安から、どんなときも同じ方法で仕事や家事をする
数字へのこだわり
不吉な数字・幸運な数字に縁起を担ぐというレベルを超えてこだわる
物の配置、対称性などへのこだわり
物の配置に一定のこだわりがあり、必ずそうなっていないと不安になる
強迫性障害だと気がついていない人も多い
欧米では、精神科に通う人々のうち9%は、強迫性障害だといわれていますが、日本ではどのくらいの割合でいるのかは明らかになっていません。データでは、精神科で診てもらった人々のうち4%が強迫性障害だという報告があるようです。
しかし、それは日本人が強迫性障害になりににくいのかというと、そうではなく、、、
- 精神科を受診することにためらっているケース
- 日常の不便を我慢している人がいるケース
などが考えられ、欧米と同じように多くの人が強迫性障害を患っていると考えられています。
強迫性障害の原因とは
強迫性障害になった人は、うつ病やパニック障害などのほかの精神疾患を合併することが多いといわれています。
強迫性障害の人のうち、3分の1の人がうつ病を併発している
ただし、うつ病と強迫性障害は、症状が違います。
- うつ病:午前中に気分の落ち込みが激しく午後から回復してくる日内変動があります
- 強迫性障害:ずっとうつの状態ではなく、気分がよくなったり、悪くなったりと波があります
強迫性障害になる原因として、生活環境の変化
脳内の神経伝達物質のセロトニンの働きに異変が起こることが関係しているともいわれていますが、明らかなことは分かっていません。
強迫性障害は、20歳前後で発症するケースが多く、それも男性の方が多くみられるようです。
女性の強迫性障害の発症は、結婚・出産などの生活の変化によって発症することが多い
強迫性障害になる原因として、度が過ぎる性格
度の過ぎる性格や考え方は要注意です。
たとえば、、、
- 過度なきれい好き
- 過度な注意深さ
- 過度に几帳面
度が過ぎなければ、多くの人々から賞賛される性格ですが、度が過ぎるのは厄介です。
強迫性障害になる原因として、度が過ぎる考え方
どんな人でも時々奇妙な考えが浮かぶことがあります。
たとえば、、、
- 上からものが落ちてくるかもしれない
- 歩いていて、車が突っ込んでくるかもしれない
- わが子を傷つけてしまうのでは
ほとんどの場合、こういった考えが浮かんでも、直ぐに考え方を辞めて普通の日常生活に戻ります。
しかし、、、
道徳観や責任感がとても強い人だと、ついついこのような考え方がこびりつくことがあります。
強迫性障害の治療法には、認知行動療法がよく効く
強迫性障害を防ぐには
強迫性障害の治療で重要なことは、、、
強迫観念や不安の変化に敏感になりすぎないこと
たとえば、強迫観念や不安が襲ってきたら、、、
- ほかのことを考えるようにする
- 数字を数えてみる
- 大好きな先生や偉人のことを考えてみる
- 楽しかった遊びのことを思い出す
などすることで、強迫観念や不安が薄らぐことができます。不安感が消え去ります。
自分でできる強迫性障害の予防法
強迫性障害を自分でケアできることが何点かあります。
- 不安を抑えるための飲酒を避ける
- 強迫行為には、徹底して抵抗する
- 強迫観念には、抵抗しない
- 不安になった思考を細部まで録音して、聞いてみる
強迫性障害の治療のための認知行動療法とは
強迫性障害の治療には、薬物療法と認知行動療法があります。
ODC研究会というホームページのコラムでは、行動療法士が行う[行動療法]がよく効くとあります。
OCDと行動療法の話
強迫性障害(以下OCD)という病気は、我々行動療法士にとっては親しみ深い病気です。なぜならOCDには行動療法がよく効くからです。もちろん行動療法は何もかもに効くわけではなく、例えばうつ病などでは薬物療法のほうが往々にしてよい治療効果が得られます。しかし、OCDにはなぜか行動療法がとてもフィットします。次にお会いする患者さんがOCDだとわかると、「ラッキー、治る」とさえ思います。
薬物療法は薬を飲んでいる間は確かに強迫症状を軽減しますが、飲むのを止めると症状が悪化するなど、単独の治療としては難しいという印象があります。おそらく薬物療法だけでスッキリすんなり治る人もたくさんいるのでしょうが、そうではない人が我々行動療法家の目の前に来るわけです。また、そうではない人がいるから、このようなホームページが見られているのでしょう。
お薬が著効を示さなかったOCDの方が、行動療法によって回復することは多く、そのような結果にお医者さんは気をよくして、ますますOCDの方を心理士に紹介することになります。したがって我々行動療法士はたくさんのOCDの方と面接することになるのです。
いま、あなたがカウンセリングを受けていて、担当のカウンセラーが、「ウンウン」とうなずきながら話を聞いてくれて「よく頑張ってますね」と肯定的に接してくれているとしたら、きっとあなたの気持ちは休まって癒されると思います。しかし、その方法ではOCDは治りません。また子ども時代のことや親子関係、さまざまな人間関係の困難などについて、あなたの気持ちや考えを当て推量でいろいろ言われることもあるかもしれませんが、そのような方法でもOCDは治りません。OCDに有効な治療として実証されているのは、今のところ(認知)行動療法と薬物療法だけです。
しかし、悲しいことに行動療法がOCDの治療に役立つことはあまり知られていませんし、日本できちんとこの療法をできる人も少なく、正確な作用機序も誤解されています。作用機序がわからなくても、教科書通りの患者さんに教科書通りに行えばいいじゃないかと思われるかも知れませんが、たいてい教科書どおりではないのです。
→ ODC研究会
認知行動療法では、曝露(ばくろ)反応妨害法とは
曝露反応妨害法とは、強迫観念による不安に立ち向かい、強迫行為をしないで我慢するという行動療法。
たとえば、、、
- 汚いと思うものを触って手を洗わないで我慢する
- 留守宅が心配でも鍵をかけて外出し、施錠を確認するために戻らないで我慢する
など、強迫症状を引き起こす刺激に自分をさらしていきます。これまでずっと強かった不安が次第に弱くなっていき、やがて強迫行為をしなくてもよくなっていきます。
曝露反応妨害法は、負の連鎖を断ち切るために生まれた治療法であり、大きな効果を持つことが実証されています
強迫性障害のセルフチェック
強迫性障害の可能性があるかどうかを確認してみましょう。
何度も頭に浮かぶ考えに悩まされていますか? たとえば以下のような心配や疑問などです。 | |
□ | 自分や周囲が不潔ではないか |
□ | 取り返しのつかない間違いを犯すのではないか |
□ | 本心ではない雑念(同情しているのに、「ざまあみろ」と考えるなど)が浮かび、罰が当たるのではないか |
□ | 不吉な想像が浮かんで、現実のものになるのではないか |
何度もくり返したり、特別な方法で行わないと気がすまない行動はありますか? | |
□ | 戸締まりやガスの元栓、火の元など何度も安全を確かめる |
□ | 手洗いや、入浴方法に特別なこだわりがある |
□ | 自分なりのルール(正確な方法、縁起をかついだ方法など)を守って行動しなければならない |
□ | 気がすむまで数えたり、触ったり、眺めたりする |
上記の項目が当てはまり、さらに以下の項目も当てはまる | |
□ | こだわりすぎだ、こだわるのをやめたいと思っても、どうしてもこだわらずにはおられない |
□ | 自分にとって望ましくない内容であり、不快である |
□ | その考えが正しいという確信はない |
□ | あくまでも自分の考えや行動であり、決して他者の支配によるもの(お告げやテレパシー、操られているなど)であるとは感じない |
□ | これらの考えや行動のために、生活、仕事または人間関係が傷害されている |
以上のような項目に当てはまるようであれば、専門医に診てもらうか相談してください。
強迫性障害、家族はどんなサポートをすればよいのか
家族のサポートは、強迫性障害にとっては大切な項目です。
なぜなら、、、
強迫性障害の治療は時間がかかり、根気も必要だから
ですから、家族の人は強迫障害に罹った家族に対し、、、
時間はかかるけど、治療すれば、少しずつ、じわじわと改善していく病気だと聞いたので、あせらず一歩一歩取り組んでいこうね
と、声をかけ、支えてあげることが必要です。
さらに、、、
「もっと頑張って」と回復を急がせるのは禁物です
なぜなら、強迫性障害の治療に取り組む家族は、、、
治療にとり組む大変さを家族は分かってくれていない
となり、逆効果になってしまいます。
大切なことは、、、
強迫行為になるべく手を貸しすぎないこと
じっくりと見守ってあげましょう。
以上。
また、次回。