そろそろ親の介護を考える1、フレイル(虚弱)予防を知っておきたい

フレイルとは、健常から要介護へ移行する中間の段階 フレイル予防

今は、両親とも元気だけど、もう結構な高齢だし、体力も弱っている、そろそろ真剣に介護のこととか勉強しなきゃ

と、いう方へ

人は誰でも必ず老いていきます
元気な老後を過ごしてもらうためにも
フレイル予防のことを知ってください。


今回は、フレイル予防のお話しです。

■もくじ

  1. 虚弱ともいわれるフレイルとは
  2. 元気な老後を過ごしてもらうためのフレイル予防

この記事を書いている僕(コータロー)は、健康食品を販売して15年ほど。

虚弱ともいわれるフレイルとは

健康寿命は、約12年短い約74歳です

フレイルとは、健常から要介護へ移行する中間の段階

超高齢社会といわれて久しいですが、2025年には、75歳以上の後期高齢者は2000万人を超えるといわれています。

運動器症候群:ロコモティブシンドロームの記事でも紹介しましましたが、世界で一番長寿の国の日本です。女性の平均寿命は、およそ86歳ですが、、、

健康寿命は、約12年短い約74歳です

単純に考えると、介護が12年必要ということになり、介護する方もされる方もツラい辛い長い期間を過ごさなければなりません。

フレイルとは

フレイルとは、【年老いて、ココロもカラダも衰えてきた状態】をいいます。すでに介護(病気や寝たきりなどで闘病している)されている状態ではなく、次のような状態をフレイルといいます。

  • 今のところ健康で元気だけど、老いるに従って虚弱になっている状態
  • 健常から要介護へ移行する中間の段階

フレイルは、英語の「Frailty(フレイルティ)」が語源となっていて、海外ではこの言葉が使用されているようです。「Frailty」を日本語だと「虚弱」や「老衰」「脆弱」などを意味になります。

フレイル
フレイルの状態とは

フレイルの状態は、一つではなく多面的な概念です。老齢になると、さまざまな問題を抱えるようになります。たとえば、、、

  • 虚弱なカラダの問題
  • 認知機能の障害
  • うつなどの精神・心理的な問題
  • 独り暮らしや経済的な困窮(貧困)の社会的な問題

このような高齢者が抱える多くの問題を俯瞰的に捉えようとしているのが【フレイル】といえます。

高齢者は、フレイルの状態から回復しづらい

歳を取ってしまうと、何ごとにもダメージを受けて回復する力が弱くなります。以前の記事で身体的な問題に関しては取り上げました。

深刻な若者の体力不足、特に30代女性は問題です

日常生活で筋肉つけて貯筋して備えよう【深刻すぎる若者の体力不足】

若年化が進む運動器症候群:ロコモティブシンドローム

若年化が進む運動器症候群:ロコモティブシンドローム【運動習慣を】

しかし、高齢者が抱える問題は、身体的肉体的問題ばかりではありません。

フレイルの時期(老齢から介護にいたる時期)に適切な支援を受けることで、このフレイルの時期が少しでも長く、元気でいられれば、健康な老後生活が過ごせるようになり、今後、介護する方としても楽で安心な状態になります。

フレイルとは、【年老いて、ココロもカラダも衰えてきた状態】

厚生労働省では、フレイルについて

加齢とともに、心身の活力(運動機能や認知機能等)が低下し、複数の慢性疾患の併存などの影響もあり、生活機能が障害され、心身の脆弱化が出現した状態であるが、一方で適切な介入・支援により、生活機能の維持向上が可能な状態像
→ 厚生労働省:平成27年度厚生労働科学研究特別研究

フレイルは、さまざまな問題を抱えています

人は、介護にいたるまで徐々に年老いていきます。徐々に身体的に衰えて、社会的にも弱者になります。フレイルの本質的問題は、社会的にも環境的にも多くの問題が重なり合っています。

たとえば、、、

  • 社会的に交流が減る
  • 身体を動かすのが辛い(運動機能低下)
  • 筋力低下(サルコペニア)
  • 認知機能の低下
  • 加齢に伴う慢性疾患
  • 孤独
  • 収入がない
  • 低栄養問題
  • 元気がない など

※慢性疾患は、糖尿病、呼吸器疾患、循環器疾患、関節炎、抑うつ症状など

フレイルの基準

フレイルの基準には、統一された基準はありません。さまざまなものがあります。フレイルを提唱したFriedさんものが採用されていることが多いです。

Friedの基準には5項目あります。

●3項目以上該当するとフレイル
●1または2項目なら、フレイルの前段階であるプレフレイルと判断
●0(ゼロ)の場合は、健常な状態

  1. 体重減少:意図しない年間4.5kgまたは5%以上の体重減少
  2. 疲れやすい:何をするのも面倒だと週に3-4日以上感じる
  3. 歩行速度の低下
  4. 握力の低下
  5. 身体活動量の低下
表1:フレイル評価基準 2)
評価項目評価基準
1.体重減少 「6か月間で2~3㎏以上の(意図しない)体重減少がありましたか?」に「はい」と回答した場合
2.倦怠感 「(ここ2週間)わけもなく疲れたような感じがする」に「はい」と回答した場合
3.活動量 「軽い運動・体操(農作業も含む)を1週間に何日くらいしてますか?」及び「定期的な運動・スポーツ(農作業を含む)を1週間に何日くらいしてますか?」の2つの問いのいずれにも「運動・体操はしていない」と回答した場合
4.握力 利き手の測定で男性26㎏未満、女性18㎏未満の場合
5.通常歩行速度 (測定区間の前後に1mの助走路を設け、測定区間5mの時を計測する)1m/秒未満の場合

フレイルチェックに関しては、【健康長寿ネット:フレイル(虚弱) フレイルの診断】に詳しいのでご覧ください。

元気な老後を過ごしてもらうためのフレイル予防

健康な状態をいかに維持してもらい、フレイル予防するには、以下のようなことが大切です

  • 生活習慣病の予防
  • 運動機能の低下を防ぐ
  • 認知機能の低下を防ぐ
  • 社会的に関わりを保ち続けること

フレイルサイクルでフレイル予防を

フレイルの基準を提唱したFried氏は、フレイルサイクルを提示してフレイルのことを分かりやすくしています。

フレイルサイクルでフレイル予防を
フレイルサイクルでフレイル予防を

このフレイルサイクルを参照すると、【サルコペニア】が一つのカギになっています。【サルコペニア】による筋肉量が減少とそれにともなう歩行速度が低下が一つの引き金になっていることが分かります。

サルコペニアに関しては、この記事をお読みください。

肥満より怖い!過度なダイエットによる筋力低下【サルコペニア肥満】

サルコペニアとは、全身の[筋力低下や身体機能の低下]をいいます。歳を取るにしたがって、私たちの身体の筋肉量は減っていきます。また、病気などにかかると長患いでも筋肉の量は減っていきます。そして、歩くスピードは、遅くなり、杖や手すりが必要このような[筋力低下にともなう身体機能の低下]がサルコペニアです。

フレイル予防:その1【持病をコントロール】

人間も65歳以上になれば何らかの病気を持っているものです。たとえば、、、

  • 糖尿病、心臓病、腎臓病、呼吸器疾患、整形外科的疾患など

大切なことは、、、

悪化させないこと、持病をコントロールすること

病気が進行すると、気分的にも滅入ってしまいます。そうなると、身体を動かすとか、運動するとかウォーキングするとかの運動機能の低下を招くので、病気のコントロールは肝心なことです。

フレイル予防:その2【運動しよう】

健康を維持するためには、何はさておき運動が大切です。ウォーキングすることによって、血流がよくなり、低体温が解消されます。すると、気分も晴れやかになり、ますます元気になっていきます。

また、著しい筋力低下(サルコペニア)になっても、筋肉は老齢でも徐々についていきます。

日毎の生活の中で運動する【NEAT(ニート)】を活用するのも身体的には有効です。

ロコモティブシンドローム(運動器症候群)に関しては、この記事をご覧ください。

若年化が進む運動器症候群:ロコモティブシンドローム【運動習慣を】

基本的な「立ち上がる」とか「普通に歩く」といった運動機能が低下してきています。この、運動機能が低下している状態を、ロコモティブシンドローム(運動器症候群)と、いいます。

フレイル予防:その3【感染症の予防】

高齢になると、免疫力が低下している場合が多く、感染症のかかるリスクが高いです。

  • インフルエンザ
  • 肺炎
  • 新型コロナウイルス

このような感染症をきっかけに、重症化して寝たきりになるケースも少なくありません。感染症にならないためにも、日頃からのケアが必要です。

  • 日頃から栄養をしっかり摂る
  • 日頃から運動をする

フレイル予防:その4【栄養】

高齢になると食が細くなります。すると、十分栄養を摂れていない状態になります。

低栄養は、フレイルを起こす最大の原因です

ミネラルをはじめ、タンパク質、カルシウムなどの栄養素をしっかり摂ることが大切です。栄養を十分補給することが、運動機能低下をまねかないために大切です。

  • 低栄養の状態で運動をすることは、ますます低栄養を助長することになります

バランスのよい食事を心がけることが肝要です。

以上。

参考サイト:厚生労働省:高齢者
参考サイト:健康長寿ネット:フレイルの診断
参考サイト:フレイルティ&サルコペニアと介護予防
参考サイト:LIFULL:フレイルとは何かを知って、介護予防












また、次回。

Thank you very much for providing photos and illustrations.