栄養を勉強中です。微量ミネラルは、身体にたったの0.3%としかないのに重要視する必要があるのでしょうか。
と、いう方へ
はい。大いに影響します。
たとえば、鉄は不足すると貧血になりますし、
妊活・妊娠中の人には特に重要です。
今回は、【微量ミネラル】の話です。
■もくじ
- わずかな量の微量ミネラルが、人体におよぼす影響は計り知れない
- 各種、微量ミネラルの解説
この記事を書いている僕(コータロー)は、健康飲料水の濃縮ミネラル水を販売して15年ほど。
わずかな量の微量ミネラルが、人体におよぼす影響は計り知れない
前回、ミネラルの中の「主要(多量)ミネラル」の7種類を解説しました。
→ 食生活改善で、今、知るべき【主要ミネラル】と【微量ミネラル】前編
くり返し説明すると、必須とされるミネラルには16種類あります。1日の摂取量が、、、
- 100mg以上の「主要ミネラル(多量ミネラル)」
- 100mp未満が「微量ミネラル」
ミネラル(無機質)の分類 | |
マクロミネラル | カルシウム(Ca)、リン(P)、カリウム(K)、硫黄(S)、ナトリウム(Na)、塩素(Cl)、マグネシウム(Mg) |
ミクロミネラル | 鉄(Fe)、マンガン(Mn)、銅(Cu)、ヨウ素(I)、セレン(Se)、亜鉛(Zn)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、ケイ素(Si)、スズ(Sn)、バナジウム(V)、ヒ素(As)、コバルト(Co)、フッ素(F) |
ミネラルの一般的機能 | ||
機能による分類 | 働き | 関与するミネラルあるいは関連物質 |
生体組織の 構成成分 | 骨や歯などの構成成分 | カルシウム、リン、マグネシウムなど |
生体内の有機化合物の構成成分 | リン脂質、ヘモグロビンの鉄、含硫アミノ酸の硫黄など | |
生体機能の調節 | 体液の恒常性の維持(pHや浸透圧の調節) | カリウム、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、リンなど |
筋肉の収縮、神経の興奮性の調節 | カリウム、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、など | |
酵素の活性化作用 | マグネシウム、鉄、銅、亜鉛、セレン、マンガンなど | |
生理活性物質の構成成分 | 鉄、ヨウ素、亜鉛、モリブデンなど |
微量ミネラルは、9種類が必須ミネラル
【微量ミネラル】は、身体にたったの0.3%としかないものになります。必須といわれるものは、鉄、ヨウ素、亜鉛、銅、セレン、マンガン、コバルト、モリブデン、クロムの9種類です。
各種、微量ミネラルの解説
鉄(Fe):女性はしっかり摂っておきたい
このミネラルは主に、身体の各細胞に酸素を運ぶヘモグロビンを構成しています。鉄は銅とともに、30億年も前から、酸素を必要とする生命の進化に密接にかかわってきたとみられています。
鉄は比較的に吸収しにくいミネラルで、主に骨髄と肝臓に蓄えられます。鉄が不足すると、、、
- 鉄欠乏性貧血
- 虚脱感、疲労感、記憶障害
- 心臓の鼓動が激しくなる心悸亢進
- 鼻風邪にかかりやすい
鉄不足で、月経中に貧血を起こす
女性は、鉄分が不足していると、月経で血液が失われてしまうため、貧血につながりやすいです。また、無気力になったり、食欲不振を起こすことがあります。
鉄には、2種類あり、、、
ヘム鉄 | 動物性食品のレバーや肉、魚類に多く含まれる たんぱく質と結合している |
非ヘム鉄 | 卵や植物性食品(野菜や海藻類)に含まれる 植物性食品に多く含まれている |
食品から摂取された鉄は、十二指腸から空腸上部において吸収されます。
亜鉛(Zn):女性はしっかり摂っておきたい
亜鉛は、ほとんど筋肉と骨の中に含まれています。また、皮膚、肝臓、膵臓、前立腺などの多くの臓器にも存在しており、さまざまなエンザイム(酵素)の構成要素になっています。
肉類や魚介類、豆類、種実類、穀物など多くの食品に含まれています。特に牡蠣には豊富に含まれています。
亜鉛(Zn)は、インスリンを合成する際にも不可欠な微量ミネラルです。発育や成長を助けたり、皮膚代謝や糖代謝、免疫にもかかわっています。
そして、、、
・欠乏すると味覚障害や皮膚炎、食欲不振、免疫機能の低下などを引き起こすことがあります
ほかの微量ミネラルの働き
以下にあげる[ヨウ素]以外の微量ミネラルに関しては、欠乏症や過剰症はほとんど観られないです。ヨウ素の関しては、日本人がよく食べる海藻などに多く含まれているため、甲状腺機能低下や甲状腺腫になった事例はあります。
おもな微量ミネラルを取り上げます。ですが、ほかの多くの微量ミネラルも大切です。70種類以上の微量ミネラルが総合的に働いてこそ、健康な生活が送れます。
モリブデン
モリブデンは肝臓や腎臓、皮膚などに存在していて、たんぱく質や鉄の代謝に関与しています。
マンガン
マンガンは成人体内に約10㎎しか含まれていませんが、肝臓、膵臓、腎臓、毛髪などに存在しています。マンガンは、マンガンスーパーオキシドジスムターゼなどの酵素の構成成分として、抗酸化作用にかかわっているほか、骨の発育に重要なミネラルです。糖脂質代謝、運動機能、皮膚代謝などの多くの酵素反応に関与しています。
セレン
セレンは肝臓や腎臓に含まれ、抗酸化作用で組織細胞の酸化を防いでいます。主に、胃、下垂体、肝臓に含まれています。
ヨウ素
ヨウ素は成人の生体内に約10㎎含まれ、甲状腺ホルモン(トリヨードチロニン、チロキシン)の主成分です。甲状腺ホルモンのおもな生理作用は基礎代謝の促進であり、たんぱく質合成の促進や脂質代謝にも関与しています。また、成長ホルモンなどと関連し、成長を促進します。
注意:ヨウ素が欠乏しても甲状腺機能低下が起こるほか、妊娠中に欠乏すると、死産や流産、胎児の先天異常などを招く心配があります。
クロム
クロムはすべての細胞に含まれ、炭水化物や脂質の代謝を助ける重要なミネラルです。糖尿病、高脂血症、動脈硬化などの、生活習慣病予防に効果があると期待されています。
以上のように、微量ミネラルは、わずかな量ですが、私たちの身体に必須なものです。
以上。
参考文献:エルマー・G・ヘインリック著『ミネラルの秘密』コスモトゥーワン
また、次回。